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胃について

院長先生!食道について分かったよ、次は胃について知りたいな.
胃はね僕は強いほうだよ.

院長くん

コムギは食いしん坊だもんね.
今日は胃について勉強してみようね!
食道と胃は僕が消化器外科医をしていた時に専門にしていた臓器だよ.

胃とは

解剖

院長くん

胃は食道と違って、おなかにある臓器です.
入口と出口と頭側以外は固定されておらず、ぶらぶらした臓器です.
大きさは個人差があり、食後臍下まで垂れさがる方もいらっしゃります.
いわゆる【胃下垂】ですね.

胃は袋状の管腔臓器となります.

食道と十二指腸の間に位置します.

細かな解剖は,以下となります.

胃の解剖 オリンパスHPより 一部追記
  • 食道胃接合部:食道と胃の境目
  • 噴門:胃の入口
  • 幽門:胃の出口、十二指腸との境目
  • 胃底部:胃を3等分し、噴門側
    • 穹窿部:胃底部のさらに頭側の箇所
  • 胃体部:胃を3等分し、真ん中
  • 前庭部:胃を3等分し、幽門側
  • ヒス角:噴門の左側の鋭角となっている箇所
  • 胃角:胃体と前庭部の間の鋭角となっている箇所

食道裂孔の締め付けと、噴門の斜めの走行と、His角の鋭角的な角度と、食後では穹窿部が拡張し噴門部を圧排するような構造となり胃内容物の逆流を防いています.

胃体部と胃底部の胃粘膜が特に消化に必要な胃液を分泌します.

院長くん

胃の解剖もそんなに難しくはありません.
まさに袋、胃袋ともいいますね.

なぜ胃の頭側の箇所が、胃”底”部というかというと、
人間が横になったときに最も背中側、つまり体の”底”側にあるのが胃底部だからですね.
また胃底部は背中側に固定されていますが、胃切除をする際にこちらを外す時が深くて大変な作業になることが多々あります.
脾臓も近いので深いところで脾臓が裂けて出血することがあります.

支配血管

非常に血流豊富な臓器です.
合計6本の血管で栄養されています.

  • 左胃動脈
  • 右胃動脈
  • 右胃大網動脈
  • 左胃大網動脈
  • 短胃動脈
  • 後胃動脈

血流豊富なため切ってつないでもくっつきやすく、胃を2/3切ってつないだり、食道がんの手術の時は管上の胃管という管に作り替えて食道替わりになったりします.

下図は胃を胃管という管に作り替えて、おなかから首に持ち上げて食道の切れ端とつなげている図です.

済生会横浜病院より 胃管の作成
院長くん

血流が豊富なため再生しやすく、切ってもつながるし穴が開いてもふさがりやすい臓器ですね.

機能

  • 食塊の攪拌と蠕動:胃が動き、食べたものを混ぜて、十二指腸に運搬します.
  • 殺菌:胃液の塩酸により殺菌作用があります.
  • タンパク質の分解:胃液の塩酸やたんぱく分解酵素(ペプシノーゲン)によりタンパク質の分解を促します.
  • ビタミンB12の吸収促進:内因子という物質を分泌し、ビタミンB12の吸収促進を図ります.
  • 鉄分の吸収:鉄分子を酸化させ、吸収しやすくします.

実は胃は消化以外にも上記作用があります.

ビタミンB12と鉄分は赤血球の造成に必要な栄養素であり、手術などで胃全摘出を行い胃を失うと貧血の原因となったります.

ビタミンB12欠乏が原因の貧血を巨赤芽球性貧血、鉄が少ないことが原因の貧血を鉄欠乏性貧血といいます.

院長くん

消化以外にも人体に不可欠な作用があるなんて以外ですよね、驚きですね.

組織

院長くん

消化を促すための胃液を分泌する臓器です.
ただの食塊の通り道であった食道では全く違う種類の細胞で粘膜が構成されています.

http://www.jhata99.org/fushigi/280.htmlより引用

上記図の通り,粘膜,粘膜下層,筋層,漿膜下層、漿膜の5層構造となっております.

院長くん

食道は4層構造でしたね.

粘膜の上記写真の胃底腺で【胃液】や【ペプシノーゲン】や【粘液】が分泌されます.

胃底腺の【壁細胞】という細胞から塩酸が、【主細胞】という細胞からペプシノーゲンが分泌されます.

筋層は脳からの迷走神経が網状に張り巡らされ、胃を動かします.

漿膜はおなかの中にある臓器を保護するため覆うつるっとした膜のことを言います.

漿膜は中皮細胞という非常に頑丈な細胞で構成されております.

院長くん

またいつか記事にしますが、1番内側の壁の粘膜から発生する良性腫瘍を胃線種、悪性腫瘍を胃癌といいます.
筋層や神経層から発生する悪性腫瘍もあります、また後述しますがGISTといいます.

胃に起こる疾患

胃に起こる主な疾患は以下となります.

  1. 急性胃炎
  2. 慢性胃炎
  3. ヘリコバクターピロリ感染
  4. 胃潰瘍
  5. 胃穿孔
  6. 胃捻転
  7. 食道裂孔ヘルニア
  8. 胃ポリープ
  9. 胃癌
  10. 胃切除後症候群(胃を切った後に起こる病気のこと)
  11. 胃悪性リンパ腫
  12. GISTや平滑筋種などの粘膜下腫瘍
正常胃粘膜
慢性胃炎
胃癌
自験例 胃癌 胃全摘後標本写真
院長くん

胃はヘリコバクターピロリ関連の疾患が多いです.
特に日本・韓国・中国のピロリ菌が悪性度が高く、胃癌はこれら地域に多いとされております.
米国では胃癌は【東アジアの風土病】と表現されることもあり、わが国でも非常に罹患率・死亡率の高い悪性腫瘍でしたね.
ピロリ感染が判明し、公衆衛生の改善、内科の先生の早期発見治療のたまもので胃癌自体は減少傾向です.

まとめ

今回は胃の解剖,機能,微細解剖である組織について学びました.

胃は単なる袋ではありません、様々な機能を持ち合わせております.

胃は胃酸を出す臓器だとおもっていたけど、いろんな役割があるわけだね.
胃を切ると貧血になりやすいなんて知らなかった.

院長くん

人体は不思議だね.
僕の上司は胃のことを【ばか臓器】って言っていたね.
血流が豊富なので切っても、穴をあけても自然に治ることが多い臓器だからだね.
次は十二指腸について勉強しよう.

総論が終わったら病気の話もしていきたいね、ぜひよろしくお願いします.

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